・債券や、為替に投資しているけど、各国の経済情勢ってどうやって知るのが一番良いの?
・情報量が多すぎるけど、何に手をつけたらいいのかな?
・資産運用会社やファンドのような機関投資家の中のプロの人ってどういう方法で経済情勢を見てるの?
そんな疑問にお答えします。
この記事を読むと、為替や債券を購入したり、株の取り巻く経済情勢を追ったりする際にどのように調べれば手っ取り速いのか理解できます。
流石にプロの充実した情報収集環境と、一般人では天と地ほどの差がありますが、そこを出来る限りカバーするようにこの記事では書いていきます。
記事の信頼性
・一応、資格としてはファイナンシャルプランナー2級(経済面の人生設計)、日商簿記2級(会計・経理資格)、Toeic750(英語)を取得しました。(証券アナリストは1次試験だけ通り、2次試験は受けていません。)
・日系の金融機関で5兆円の外国債券を運用する部署(20人位)で、主にヨーロッパの国債のアナリスト(分析者)をしていました。アメリカ経済も調査していたので、世界経済という大きな枠でお話することができます。
・私もプロではなくアマチュアとして、FX(為替)をやっていた時期もあるので、一般の方の情報収集のしにくさについては理解しています。
この記事の概要
初心者~上級者向けの内容にします。
この記事では、何も知らない方が自分で一般人として十分に効率よく、情報収集する方法を解説します。
※情報収集は必須なのですが、理論としての勉強も、しっかり本を読んで、別にやらないと逆に効率が悪いし、本質がわからないので情報の理解が不十分になってしまいます。
・情報収集は日々、右から左に流れていく情報を理解することです。
・理論や構造や仕組みというのは、流れていくものではなく、変化のない情報で自分の中に蓄積されていくものという感じです。
目次
機関投資家内のプロの環境と、一般の方の環境の違い
まず、機関投資家の中で毎日何億とかの取引をしているプロの人たちは、一般の方と比べて、情報収集が圧倒的に有利です。
しかし、単純に自分が相場に勝てればいいので気にしなくて大丈夫です。
勝てるときに勝つ、負けそうなときには戦わない。それで最終的な勝利になります。
機関投資家の内情・実態について知りたい方は以下の記事に書きましたので、ご覧ください。
【実態・内情】機関投資家と個人投資家の違いは何?【元機関投資家勤務の私が教えます】
経済情勢を速く理解するためのポイント
ポイントは以下の5つです。
- 行動の順番を決めておく
- どの情報がどこで手に入るか把握しておく
- 定期的に(できれば毎日と毎週)記録する
- 予定されているイベントをチェックしておく
- 事実なのか、誰かの解釈なのかしっかり分別する
1.行動の順番を決めておく
流れ作業のように行うと早く終わります。
5番は忘れがちですが、大切なことなので、行うといいです。
- チャート(もしくは数字)で動きを確認
- チャートの動きの原因を確認
- 複数人の予想を収集
- 自分の予想を作成
- (後で)予想が外れたらその理由を記録
2.どの情報がどこで手に入るか把握しておく
見るウェブサイトを決めておいて、エクセルとかにリンクを張っておくと早いですよ。
3.定期的に(できれば毎日と毎週)記録する
例えば、毎日、新聞を見てると昨日とあまり状況が変わってないな。。。と思うことがよくあるので、
毎日記録していれば、変化している差分の情報だけ記録すればいいので意外と楽です。
毎週単位でも行う理由は毎日の動きよりもう少し大局的な動きを確認するためです。
先週の振り返りと、来週の予想を立てます。事実の確認と解釈により、投資商品の価格推移の方向の予想と、自分がとる行動の確認とかします。
4.予定されているイベントをチェックしておく
これからの数値の変化に影響を与えるものは以下の2つです。
- 今予定されているイベント
- 予定されていなかった突発的なイベント
1について
今、どういう影響があるか考えといたほうがいいです。ポイントは以下です。
- イベントの前はどのような動きになるか
- そのイベントの結果がAになる確率は何パーセントか
- Aの結果になったら、どれくらいの時間でどの水準まで価格の変化が起こるか
- また結果がBになる確率は?、、、あとはAと同じです。
2について
起こるリスクや結果がわかるのであれば、その時の行動を考えといたほうがいいです。
全くどうしようもないものはどうしようもないですが。。。
5.事実なのか他人の解釈なのかはっきりさせる
何が事実で、何がその事実に対する解釈や意見なのか分別をつけることは大切です。
チャートで数字の動きの分析
まず情報を収集するときは、一番最初に行うことはチャートを見ることです。
自分が一番知りたいのは、自分が投資している商品の価格であって、それが上がるのか下がるのかが一番知りたいはずです。
チャートはその『結果』です。
チャートをみるとほぼ一瞬(10秒程度)で、直観的に簡単に状況を理解することが出来ます。
そして、次に後述するように、過去のチャートが動いた理由・要因を調べます。
そして、未来の予想を立てるとき、未来に同じ理由・要因が繰り返されるならば、未来も同じチャートの動きをするだろうと考えるのが予想を作っていく出発点です。
この出発点の後に、同じ要因が繰り返されるけれども、過去にはなかったイベントや要因・状況が、未来にはあるから過去とは同じ動きにはならないだろうとか考えるのです。
チャート分析のポイントを述べます。
水準と方向(角度)の話を分けて考える
水準というのは、価格の位置が高いのか低いのかという話です。
水準を考えるときは以下の考え方をします。
①今のAと、過去のAを比較して、今は高い・良い(もしくは低い・悪い)
②今のAと、今の同類の他のBを比較して、高い・良い(もしくは低い・悪い)
出来ればチャートに線を引いてみる
線を引く理由は、チャートの動きを単純化してわかりやすくするためです。
『方向の角度』を明確にする
チャートが上方向や下方向に継続して動いているときに、動いている角度を明確にするために、傾いているチャートに沿うように、斜めに直線を引きます。
そうすることで、『角度』と『ブレの幅』を知ることが出来ます。
その直線が当てはまらなくなった時、動きの角度が変わってきたといえます。
『水準』を明確にする
チャートが大きく折り返しているあたりに、接するようなイメージで、横線を引きます。
そうすることで、将来折り返してくるなら、おおよそ、この数値あたりと目星をつけることができます。
チャート分析指標
分析手法は様々な物があり、面白そうなので、興味をそそられると思いますが、初心者のうちは、上記だけ行えば大丈夫です。
しいて行うとすれば以下の移動平均線です。
もっと勉強したい方は、RSI、一目均衡表、ボリンジャーバンドを勉強するといいと思います。あまり必要ないと思いますが。
これらは応用なので、ここで挙げている『誰が見ても明らかな傾向』よりは、劣ります。
移動平均線
一定の期間の数値を平均化することで、なだらかなチャートのおおまかな方向性や動きを明確にします。
長期的になだらかにした線、中期的になだらかにした線、短期的になだらかにした線を全て重ねて使用します。
活用したい情報源
大局的な傾向
この日興コーディアル証券が定期的に出しているPDFが、とてもまとまりがよくて、
大局的に今どのような状況か把握するのにとてもいいです。素晴らしいと思います。
これから投資を始めてみるなら、これを見た方がいいです。
週1回発信されている総合チャート集を見ると、日本を含めた世界の経済情勢を、何もしらない状態から5分程度で大枠が掴めます。
個別の金融商品の傾向
Bloombergのマーケット状況のところで、なかなか便利なチャート機能が使えますね。
自動でうまい具合にチャートを調整してくれて、重ねて比較してくれます。
以下のサイトもとても便利ですね。色々な機能が手軽に利用できます。
チャートを表示して右上の歯車のマークで、線を引いたりできます。
経済指標
スケジュールを見るならカレンダー形式になっている大和証券の以下のページが見やすいです。
個別の経済指標は以下のyahooFinanceが読みやすいです。
経済指標は、傾向を見るのはもちろんのこと、予想と実際発表された数値が大事なので、
この予想のチャートがあるところが素晴らしいです。予想と実際発表された数値が違うと、期待外れということで、商品の価格は変化します。
数値以外の情報(状態・理屈・仕組み・構造)の収集
まず、『事実』を収集します。次に誰かの意見や『解釈』を収集します。
事実の収集は基本以下のサイトで行うのがよいです。
海外の経済情勢に関して言えば、Bloombergと、たまに重要のイベントの次の日に日本経済新聞買うだけで大丈夫です。
bloomberg
プロもこのサイトを見てます。これだけ見れば、経済情勢の情報は大丈夫だと言っても過言ではありません。
誰もが知ってる有名サイトです。
これが伝統的で基本で無難で信用があります。
ほとんどの信頼度の高い事実がここで確認できます。
前日の情報がコンパクトに纏められた記事も毎日上げられていて、素早くネタを拾えるのでおすすめです。
コンパクトな値動きの解説記事は例えば、以下です。
・海外
・国内
見つからない場合は、bloombergには検索機能があるので、検索のフォームに『8月16日の海外』とか『国内市況(8月16日)』とか単に『8月16日』とか入れて探してみてください。
Financial Times
これもプロはよく見ています。信頼度は高いです。
あまり必要ないと思いますが、もしBloombergで物足りなければ、こちらを見るといいと思います。
でも英語だから読むの大変ですよね。
日本語に訳しているサイトを見つけました。
THE WALL STREET JOUNAL
これもプロはよく見ています。信頼度は高いです。
あまり必要ないと思いますが、もしBloombergで物足りなければ、こちらを見るといいと思います。
ロイター
これもプロはよく見ています。信頼度は高いです。
あまり必要ないと思いますが、もしBloombergで物足りなければ、こちらを見るといいと思います。
アメリカの金融政策を決めているFOMCという機関(組織)があるのですが、そこが年8回、政策の方針を声明文として発表します。
アメリカの政策は世界経済に影響するので、注目の的です。声明文が公表された瞬間に様々な金融商品の価格が変わります。
その声明文は基本原文で読むべきですが、このサイトはありがたいことに日本語訳を乗せてくれます。
例えば以下みたいな感じです。
なお、声明文だけでなく、議事録もプロは読みます。
日本経済新聞
時々見てました。何か大事な事があったときに、詳しく、丁寧に、一般の人でもわかるように、構造を説明してくれるので助かっていました。
上記のサイトを見れば、月額で契約する必要は特にないと思います。
必要な時だけ、コンビニとか駅の売店で買って読めばいいと思います。
会合・要人発言等のスケジュール
会合や要人などのイベントのスケジュールに関しては、以下が見やすいです。
上級者向け
国について、もっと突っ込んで調べたいときは以下を利用します。普通は必要ないです。
JETRO(日本貿易振興機構)
例えば、どの国が何で儲けているのか内訳が見れたりします。
英語圏外の国を調査するとき
ここまでやる一般人の方はいないと思いますが、私の場合は、google翻訳を使いまくって、
英語圏以外の選挙がどっちが優勢か調べていました。
意外と調べられます。
英語以外の言語で書かれているサイトを読むときは、google chromeで右クリックして日本語に翻訳してみたり、原文を英語に翻訳してみたりして、理解しました。
大体それで、頭を使えば、読むことが出来ます。
自分以外の人の意見の収集
これは『事実』の情報収集ではなくて、誰かの『解釈・意見・予想』の収集という意味です。
自分で0から考え調べるより、誰かが0から考え調べたものを読んだ方が、圧倒的に速く結論に到達できます。
しかし、最初はある程度知識がある人向けに書かれているものが多いので、何を言っているのかわからないと思います。
なので、上述の記事をまずは自分で、日々読んで『事実』に対する理解を深めた方が良いです。
そのうえで、その『事実』に対する他者の解釈や意見を収集するのです。
また、人の意見はそれぞれ違うので、いくつもの視点を持つためにも複数人の予想や見解を集めた方がいいです。
それを集めたうえで、自分はこう思うと考えるのがよいと思います。
しかし、その際、先入観を持ちやすいことに注意してください。
5人の意見を収集できたとしても、全員間違っていて、あなただけが知っている情報や導き出せる予想があるかもしれません。
そのうえで有効なサイトを紹介します。
各証券会社のレポート
コンパクトにまとまっています。どう解釈しているのかわかります。
経済情勢
日本株の個別銘柄
利用したい便利な道具
私が外国債券をプロとして運用していたとき、ほとんどすべての周りの人が大きい手帳に記録をしていました。
使用していたのは証券会社からもらったものでしたが、市販でも似たようなものが売っています。
以下のようなものです。
サイズ:B5
形式:デイリー、毎日
イメージは以下です。
書く内容は主に『事実』の方で、『予想』はあまりありません。
書いたとしても一言二言です。
主に以下の4つを書いていました。
- 自分が見ている商品の価格と前日差
- 重要な指標の実際発表値と前回差
- 価格に影響を与えた出来事のポイント
- 『予想』一言二言
まとめ
行動を極限まで簡潔にすると以下です。出来れば、上記の手帳に必要なことを書き込みながら、行ってください。
- チャートで世界経済の大局の動向を把握(日興アセットマネジメント データウォッチ)
- チャートで自分の投資商品の動向を把握(Bloombergのマーケット市況)※ついでに他の似た商品のチャートをいくつか重ねて比較してみる。
- チャートに線を引いて、『動きの角度・方向』と『過去のチャートの大きな折り返し地点』を確認(Bloombergのマーケット市況)
- なぜ、チャートが動いたか、ニュースをbloomberg、理解できなければ、日本経済新聞でチェック(海外:8月16日の海外株式・債券・為替・商品市場、国内:きょうの国内市況(8月16日):株式、債券、為替市場)
- 証券会社のレポートや権威ある人の見通しを複数見て、みんなの予想を知る(経済情勢:三菱UFJ国際投信 レポート・コラム、日本株:PX日本取引所グループ)
- 自分で今後の予定を確認(経済指標:大和証券 経済指標カレンダー、Yhooファイナンス 会合・要人:三菱UFJ国際投信 政治・経済スケジュール、JETRO 世界の政治・経済日程 ビジネス短信)
- 自分の予想を立てる
上記で情報収集から、予想を立てるのは終わりです。
しかし、意味不明なことも多いと思うので、別途、経済の仕組みを理解することや、影響を及ぼしている要人や会合についての、性質や構造などの知識を積み上げていく必要があります。
基本は、簡単に書かれている本を買って学び、残りはググって理解してプリントアウトや、どこかにメモしておくか、そのページのリンクをどこかに記録しておくと良いかと思います。
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